症例報告

猫の皮下膿瘍

◎概要

猫の皮下膿瘍は、主に猫同士のケンカによる咬傷などの傷から細菌が感染して生じる皮膚の深部細菌感染症です。特に、屋外に出る猫での遭遇が多いです。

初期は飼い主様も気づかないことが多いですが、皮下で数日かけて感染が進行すると傷口の腫れ、疼痛、発熱などによる全身状態の悪化、患部からの排膿が認められ、その時で気づかれることが多いです。

◎治療の流れ

①患部の毛を刈った後、外科的に膿瘍を切開し排膿させます。

②創傷の壊死した組織の除去と洗浄を行います。

※この際、傷を縫合して閉じてしまうと、膿瘍の原因である細菌、特に嫌気性菌(酸素がない環境を好んで増殖する細菌)を閉じ込めることで、感染を助長してしまう可能性があります。そのため敢えて傷を開放して治療します。

③抗菌薬を投与します。場合によっては膿の培養検査を行い、どのような細菌が増えているかを確かめたうえで、適切な抗菌薬を選択し処方します。

④感染がコントロールできた段階で、縫合処置を実施して傷を閉じます。

※ただし、感染創は治癒に時間がかかる(数週間~数か月)ことに注意が必要です。

最後に抜糸後の写真です。被毛が生えそろうと傷跡も確認しにくいくらいきれいに治りました。

◎おわりに

皮下膿瘍は、適切な治療を実施すれば予後は良好ですが、放置すると全身状態が悪化する可能性のある疾患です。また、野外に出る猫では、ケンカにより猫白血病ウイルス(FeLV)、猫免疫不全ウイルス(FIV)などの命に関わる疾患を引き起こすウイルスに感染するリスクも高まるので、飼育管理には注意が必要です。

猫ちゃんが噛まれた、腕や足が腫れている、身体が熱っぽい等の様子がありましたら、すぐにご相談ください。

文責:大久保

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